だれかがいないこと

だれかの形にあいた穴はほかのひとではきれいにはうまらない。
おおきすぎてはみだしたり、すきまがあいたりする。
あいてしまった穴はなかったことにしてそのままふさげばいいのか、
そのままあいたまま暮らしていけばいいのか。
ふさぐのもあけっぱなしもどちらもむずかしい。
その隣にほかの形をあける気にはなれない。

とりあえずいまはふさぎたくないのであけたままにして、暮らす。
いつかそのひとがかえってきたとしてもそのひとの形が変わっているかもしれないし、
穴の形が変わっているかもしれない。

とにかく、どうにかなる日を待つしかないし、時間は流れる。
それだけのこと。